田坂広志 「風の便り」 ふたたび  第64便 21世紀の「地球観」

21世紀の「地球観」

かつて、ローマクラブという世界的なシンクタンクが、
成長の限界』という報告書を発表しました。
人類が現在のような経済成長を続けていくと、
数十年以内に、人口爆発、食糧危機、資源枯渇、エネルギー不足、
そして環境汚染という五つの深刻な問題に直面し、
成長の限界」に達する。
この報告書が述べたのは、その未来予測でした。

この予測を行ったのは、
米国マサチューセッツ工科大学のメドウズ教授。
そして、この研究において用いられたのは、
地球というものを「巨大な容器」とみなす、
シミュレーション・モデルでした。

一方、「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と呼ばれた
バックミンスター・フラー
彼は、『宇宙船地球号操縦マニュアル』という書を著し、
この地球という惑星を、一つの宇宙船とみなし、
人類がその宇宙船を操縦していく方法を述べました。
その思想の根底にあったのは、
地球というものを「精緻な機械」とみなす考えでした。

しかし、さらに後、
NASAの科学者であったジェームズ・ラブロック。
彼は、その『地球生命圏』という著書において、
「ガイア思想」と呼ばれるものを提唱しました。
地球とは、一つの「大いなる生命体」である。
その思想です。

この地球観の進化。

「巨大な容器」から「精緻な機械」へ
「精緻な機械」から「大いなる生命体」へ

それは、そのまま、
我々人類の「意識の成熟」を物語っています。

しかし、そのことを考えるとき、
我々の心に、一つの問いが生まれます。

我々の意識が、
さらに成熟し、深まっていったとき、
地球というものは、何になっていくのか。

「大いなる生命体」を超え、
何になっていくのか。


その問いが、生まれるのです。



2003年1月16日
田坂広志





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田坂広志 「新しい風」 『なぜ、働くのか』
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田坂です。

来る7月2日に、
2002年に上梓した著書

『なぜ、働くのか』

が、PHP研究所より、
文庫本として、出版されます。

この本の副題は、

生死を見据えた「仕事の思想」

この副題が示すように、この本は、
「働く」ということを、「生きる死ぬ」という
「死生観」の深みにおいて語った本です。

私が書いてきた著作の中でも、
最も深く、重いメッセージを語った一冊です。

この著作が、ふたたび世に出たことを
嬉しく思います。

PHP研究所の山田雅庸さん、中村悠志さん
そして、PHPエディターズ・グループの石井高弘さん
有り難うございました。

この書籍に興味のある方は、
私の公式ブログ「新しい風」をご覧ください。
http://blog.hiroshitasaka.jp/


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「風の対話」 ウェブを「ノウハウ・ベース」にする方法
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今週は、シリーズ
『プロフェッショナル進化論』の第8回、

ウェブを「ノウハウ・ベース」にする方法

をテーマとして話します。

ウェブの世界は、もとより「ナレッジ・ベース」。
それを使って、世の中の様々な「知識」(ナレッジ)を
容易に手に入れることができる。
また、ウェブの世界は、「コンセプト・ベース」でもある。
その使い方によっては、そこから、
新たなコンセプトを、様々な形で生み出すこともできる。

しかし、ウェブの世界は、さらに、
「ノウハウ・ベース」にもなる。
それを使って、単なる「知識」だけでなく、
言葉にならない深い「智恵」(ノウハウ)を
学ぶこともできるのです。

そのための一つの方法が、「私淑」。
優れたプロフェッショナルを
心の中で、「師匠」と仰ぎ、その仕事のスタイルから
深い「智恵」を学ぶ方法です。

では、これからの「ウェブ2.0革命」の時代に、
それは、具体的に、どのような方法となっていくのか。

この第8回では、そのことについて話します。

この番組をお聴きになりたい方は、
下記のサイトをご覧ください。
http://www.hiroshitasaka.jp/taiwa/kaze.php

また、これまでCDでお聴きいただいた
「風の講話」や「風の対話」を
オーディオブックのポータルサイト「Febe」から、
音声ファイルで、ダウンロードできるようになりました。

「風の講話」や「風の対話」を
音声ファイルでお聴きになりたい方は、
下記のサイトから、お申し込みください。
http://www.febe.jp/sophia/index.html