プライバシーコントロール権

ウェブ時代において、個人情報とプライバシーの扱いは根本的な認識を変えなければならないのではないかと思っています。

そしてウェブ時代に必要なのは個人情報保護というよりは、プライバシーコントロール権であることを主張したいと思います。

プライバシー侵害というのは、いつどこでだれと何をした、みたいな情報が自分の知らない間に報道されたり、ネットで公開されたり、事実と異なることを書かれたり、仮に事実だったとしてもそれが本人の生活する上で他人に犯されるべきでない領域だとプライバシー侵害になります。

ところがウェブ時代だと人は悪意を持っていなくてもなにげにブログやSNSの日記に友だちのことや恋人、家族のことを書いてしまいます。ニュースや報道は今まで通りに加えて、ネットでは輪をかけて情報が指数関数的に拡散していきます。ほとんどの情報誌や報道が「人」に関することをネタにしていることを思えば、日常的な人のプライバシーをいかにうまく記事にするかというのがメディアの常套手段のような気がします。

Google以前の世界、すなわち一般的なメディア時代であれば一度公開されてしまった情報もその時だけでほぼ一瞬で拡散は終わり、忘れ去られていくものでした。ところがウェブとGoogle以後では一度公開されてしまった情報はいつまで経っても誰の目にも触れる状態を保ったままスタンバイしているのです。

したがって、ウェブ時代におけるプライバシーの考え方というのは、公開される自分の情報そのものを指すのではなく、情報の公開設定の権利や流通する経路のコントロール権を指す、という認識に変わりつつあります。

〜〜〜Wikipedia〜〜〜〜
プライバシーとは、個人の私生活に関する事柄(私事)、およびそれが他から隠されており干渉されない状態を要求する権利をいった。現在は、自己の情報をコントロールすることができる権利に変わっている(#積極的プライバシー権)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%90%E3%82%B7%E3%83%BC
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このプライバシーコントロールという権利を持つか持たないかはこれからのウェブ時代、特にビジネスでキャリアを積む上では非常に重要な要素となるでしょう。なぜならこれまで多くの人は広く一般に自分の情報が広がる際に情報のコントロール権はメディア側にあって、できることと言えば公開されるまでに記事の内容をチェックすることくらいでした。これからはそれだけでなく、情報が流通する経路までもコントロールすることが必要になってくるのです。

映画マトリックスでも意味深な台詞があったのを覚えていますか。マトリックスとは「コントロール、制御」だと言ったことです。すなわちマトリックスの世界では人間はシステムにコントロールされているわけです。(プライバシーよりも超えて)今みなさんの情報はまだそれほど多くウェブに出ていないかもしれませんが、では自信を持って自分の情報をコントロールできていると言えますか。システム、すなわちGoogleYahoo!にコントロールされていませんか。

SBI Robo 渡部薫