Googleの携帯電話戦略

http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20369941,00.htm

結局Googleは携帯電話周波数の落札はしませんでした。これを敗北と見るか、膨大な投資を避けることができ、かつ携帯電話ネットワークのオープン化を約束させているので事実上の勝利というアナリストの声もあります。

実は僕もGoogleの入札については興味深く追っていたのですが、どちらかというとやっぱりそうか、という感じです。自信はなかったですが、Googleが何兆円もかけてネットワーク構築に走るかどうかは疑問だったのです。この点はソフトバンク孫社長との戦略の決定的な違いでもあったので今後10年先、20年先どういう結果になるか楽しみのひとつでもあります。

Googleほど時代の幸運に恵まれた会社はめずらしいと思います。もちろんビジョンや技術力がすごいことや検索がすばらしかったことを含めても、ラリー・ペイジもいうように「運がよかった」ということがあると思います。なぜならGoogleほどインターネット時代においてあらゆる技術革新の恩恵を受けた会社は他にないからです。またビジネスモデルにおいても検索と広告がこれほどまでにマッチするとは想像すらできなかったわけですから、、、Googleが手にした奇跡は時代が求めていたのかもしれませんね。

さて、「デジタル情報革命」ということに注目して今回のGoogleの戦略を振り返ってみましょう。ソフトバンク孫社長のデジタル情報革命は30年くらい前から提唱しており、自伝とかに50年計画として紹介されています。
コンピュータソフトの卸業からはじめ、コンピュータ雑誌(情報)、コムデックス(展示会)、Yahoo!(インターネットの玄関)を押さえ、Yahoo!BBでインフラ業、通信事業者に転身し、いまや携帯電話事業を営む完全な通信事業者となったわけです。

だから正確に言うとソフトバンクのデジタル情報革命は、情報インフラの革命を推進してきており、ある意味本当に革命を起こす原動力としての役割を担ったと言えるでしょう。しかしながらずっと心に引っかかっているのは革命後はどうなるのだろうか、という疑問です。世の中の仕組み(インフラ)が変われば、当然ライフスタイルや文化にも革命が訪れます。真のデジタル情報革命とは革命前から革命を指すのか、それとも革命後の世界の革新を指すのか、、、果たしてどちらがデジタル情報革命と呼ぶにふさわしいのか悩みます。

明治維新といえば、やはりペルーによる黒船の江戸末期から明治維新までを言うのでしょう。坂本竜馬西郷隆盛は維新(革命)をなしえた人物になり、明治を創った人ではないですね。

日本におけるGoogleというのは、まさに黒船のようなものでしょうか。日本の携帯電話もオープン化の波でドコモもauもインフラの上のサービスアプリケーションはGoogleに依存し始めています。すでにドコモとauの検索のポジションを手に入れたGoogleにとってモバイルウェブのシェア90%を取ったわけですから、日本でキャリアになって何兆円もインフラに投資する必要性はまったくないわけです。

一方ソフトバンクはインフラからサービス、コンテンツまでをグループで垂直統合しながらオープン化するという戦略を取っており、かけているのはOSやウェブアプリケーションプラットフォームです。

現実世界に照らし合わせれば、電力会社が電機メーカーになり、テレビ局になる、というようなイメージです。果たしてこれからソフトバンクはインフラを押さえた上でメーカー、サービス、アプリケーションそしてライフスタイルや文化にまで影響与える革命が起こせるか見てみたいと思います。

Googleが携帯電話事業という同じ土俵に上がってこなかったことは今後のソフトバンクの日本および世界のネット戦略に少なからず影響を与えるのではないかと思います。

SBI Robo 渡部薫