Googleについて思う

今月に入りGoogleの話題が尽きない。株価は700ドルを超え、800ドルも行くだろうと言われる。時価総額は実に約25兆円(2200億ドル)、一
説には1000ドル説もある。こうした夢のある企業に簡単に投資できない日本の個人投資家は僕から見るととても不運だと思う。特にIT業界では米国のウェ
ブサービスが圧倒的で毎日次から次へと新しいサービス、新しい挑戦、次のGoogleを目指す起業家が出てきている。日本といえば、ちょっと米国の流行っ
たものを取り入れたり、ライセンスしてもらってちょこちょこっとマーケットで受け入れられたらマザーズIPOして20〜50億円くらい市場が調達して、
立ち上げた起業家は夢もビジョンもないからIPOしたらささっと持ち株を売り抜けて損をするのは何も知らない個人投資家だ。



どうせリスクマネーを投資するならよほど米国のベンチャーに投資した方が夢もあり、リターンも大きいと思う。国内のベンチャー市場がこんな状況だといつか
だれかがワンクリックで世界中の銘柄を取引できるようにしてしまって、投資家は一気に流れていくような気がしてならない。



インターネットとウェブは証券業界に破壊的なイノベーションを引き起こし、旧来のやり方を劇的に変えてきている。IP(インターネットプロトコル)による
クライアントサーバ型のモデルがE*Tradeのようなモデルを実現したわけだ。そしてYahoo!のようなディレクトリ型ポータルモデルが旺盛を極め、
メディア力をつけていった。ところがサーチテクノロジーが進化して今の人々の情報へのアクセスはOSでもなく、ブラウザでもなく、ポータルでもない、サー
チからだ。なぜオンライントレードもサーチから始まるということが見えてこないのだろうか。いつまでディレクトリ型とポートフォリオ中心の売買サービスを
続けるのだろうか。だれかがサーチ中心のオンライントレードサービスを始めるまで様子見なのだろうか。



今ウェブで起きていること、人々のライフスタイルに劇的な変化が起きていること、それを感じてる人はどうやらあまり多くないらしい。SNSにしてもmixiのままだったり、ポータルにしても検索がくっついていたらそのままでもいいかなという感じである。



僕がGoogleファイナンスの企画者ならGoogleファイナンスの日本語版を作るよりも、Googleが米国の銘柄を取引手数料を限りなく無料に近
づけて世界中の人に取引できるような仕組みにするだろう。YouTubeが世界中からコンテンツを集めるようにGoogleは逆に世界中から銘柄を集める
だろう。幸いにもGoogleが金融業界に参入するといううわさはまだない。



OpenSocialソーシャルメディアに影響を与え、Open Handset
Allianceで携帯電話業界に激震が走る。マイクロソフトが長年携帯電話のOSの地位を狙って努力していたものをGoogleはあっさり30社以上の
賛同者を集めてリリースしている。さらにGoogleはいつも予想と異なるアプローチで参入してくる。



Googleの流れはいったいいつまで続くのだろう。そして今ウェブで起きていることはファイナンス業界にとって他人ごとなのか、それとも未来の脅威なのかそんな目で見ている人がどれだけいるのかわからない。日本はここでも平和だなーと思う。

SBI Robo 渡部薫