Facebookと大英帝国?

Facebook大英帝国はどんな関係があるのか、説明します。そもそも大英帝国大英帝国でありえた最大の理由は産業革命です。当時技術革新がここで行われ、社会構造そのものが変革したからです。蒸気船、蒸気自動車、鉄道、機械化によって新しい工業産業が誕生し、同時にエネルギー産業と物流産業が生まれ、人々のライフスタイルは大きく変わってきたのです。

今で言うとテクノロジーの進化に対して社会構造そのものが変わってきているわけですが、では産業革命時代におけるテクノロジーの進化は今社会のどこで行われているのでしょうか。ひとつの例をあげます。鉄道ができて18世紀の人々の生活はどう変わったでしょうか。移動が容易になった、または大量に物を運ぶことができるように陸路の物流が盛んになり、駅周辺の産業が発達し、エネルギーと食料産業が活性化したはずです。

人の移動が多くなると、当然街の性格が変わりますし、何より違う土地で違う習慣での出会い、恋愛、結婚、就職、定住などライフスタイルにも影響が出たはずです。そのような中で生まれてから死ぬまで同じ街にしかいない人と、移動して多くの人と出会う人とのつながりが同じわけはなく、それが社会にどう影響を及ぼしてきたか振り返ることは難しくありません。

インターネットテクノロジーも同じ現象を起こしています。Eメール、チャット、Blog、SNSなどは人の移動手段とまったく同じです。これを単なる手紙や電話に変わる道具として使っている人は現実世界という社会に死ぬまでとどまっている人たちであり、ウェブ社会を移動している人たちとはまったく異なるわけです。

ウェブ社会を移動するという意識は自らをデジタル化(ID化)して、移動し、自分の知らない土地(ネットワーク/コミュニティ)で多くの人と出会うことに他なりません。そしてそこでたくさんの人と人のつながりを構築していくのです。

デジタル情報化社会とは、現実の世界はあるとどまった場所にいるかもしれませんが、ネット上では移動していて離れた場所、文化の違う人たちとつながりを持っている社会のことです。

もしあなたが18世紀に生きていて、鉄道の技術価値と新大陸のマンハッタンの価値を比べられるとしたらどちらが未来の可能性が大きいと感じるでしょうか。当時の人は鉄道の技術価値の方が未踏の地のアメリカより大きく見えたことでしょう。

Facebookはおそらく米国の第56番目の州の価値を持っているといってもいいでしょう。それも膨大な人口をかかえ、すべての人の人間関係が把握できている社会です。

18世紀から19世紀にかけて大英帝国が世界を制覇できたのも、世界という場所場所のつながりを支配していたかです。支配したのは土地ではなくその土地に住む人間だったのです。植民地というとその土地を支配したと思いがちですが、本質はそこにいる人間、社会の人間性、文化、言語、通貨、教育などを支配することです。1999年に香港は中国に返還されましたが、土地は返還されても100年以上続いた英国の意識の支配はまだ続いているのはそのせいです。

今日Googleはその技術力の粋をあつめて対Facebook戦略を立ち上げました。OpenSocialです。

Googleの取り組みについては今後は注意深く観察していきたいと思います。

SBI Robo 渡部薫