自動的にデジタル化

Last.fm に再生した曲名を自動的にアップロードしてくれるエージェントプログラムが、iPod touch にはまだ対応できておらず、その事が、ここ数日のフラストレーションになっています。自分が最近聞いた音楽の記録が失われるのではないかと。

何を聞いているのかということは、その「人」を特徴付ける要素の一つになります。すでに、30,000 トラック以上の再生記録をアップロードしていますが、ここ数日はネット上の隣人からは私が死んでしまっているかのように映るでしょう。

この Last.fm のプログラムの場合、利用者は iPodiTunes, winamp, Windows Media Player などで、再生したものが「自動的」に、記録されていくことが特徴となります。

ブログを書く、コミュニティに参加する、というのは積極的な情報活動やコミュニケーション活動の結果としての記録ですが、再生した音楽というのは、ほぼ自動的に記録されるため、積極的なという意識ではありません。

このレベルで、ほぼ自動的に記録されるとしたら、ウェブブラウザの閲覧履歴、検索履歴・・・これは、iGoogle をはじめ、Askgoo などでも既に行われています。メールの送受信・・・メールの送信者や宛先、件名、また本文にセマンティックな分析が始まると、ここも自動的に「人」が記録され始めます。

自動的に記録されていることを意識した場合と、そうでない(無意識の)場合とでは、プライバシーの考え方との衝突が発生します。しかしながら、プライバシーの考え方というのも、ここ数年で急速に変化してきており、無意識に自動的に記録されている、ということを受け入れつつあるように思えます。

いま気にしているのは、その人がどこに居るのか。どこに居たのか。という位置情報に関するプライバシーの考え方です。携帯電話を持ち歩いている以上、どこかしらにある基地局からは捕捉されているわけで、無意識に自動的に記録されうるわけです。便利な、位置情報付きの検索を行うと、位置情報がサービス事業者側に記録されます。また、コンビニで Edy を使った場合も、何時にどこのコンビニに居たということは、追跡可能でしょうし、Suica で電車に乗っても同様です。

携帯電話を使わない。コンビニも電車も現金で、という回避できる選択肢がありますが、これからデジタル化社会が進むにつれて、選択の余地がない場合(あるいは、とても面倒で不利になる場合)も出てくると考えられます。

最終的には、デジタル化した方がメリットが大きければそちらに倒れるでしょうし、逆もそうでしょう。ケータイとクレジットカードばかり使っている現時点では、私はメリットを享受する方に倒れていますが、どちらも選べるということが大切だと考えています。

森田::