起業家と資本家?〜大きな石

すぐれたビジョンとは、以下の要素がある、というところで終わっていましたのでつづきです。

Roboのビジョン

「有意義な目的」
これはRobo三原則にも掲げている通り、デジタル情報化社会に秩序をもたらすことです。僕が言っているのはGoogleの情報ではなく、デジタル社会にする人間のことです。すなわちこのデジタル化された人間たちのことを情報ロボットと定義しており、ロボットに三原則が必要だという仮説のもとに目的があります。

「明確な価値観」
デジタル情報化社会にも現実世界と同じ価値観が存在します。それはだれかがいいというものは何かしら価値があり、価値そのものは千差万別だということ。その価値観をサーチエンジンのランキングテクノロジーによって見出すこと、そしてデジタル社会に安全と安心できる信頼性の仕組みを提供するという価値観です。

「未来のイメージ」
これほど今のRoboと僕にはっきり見えているイメージはありません。Roboの未来は最初の未来が2012年、次が2025年〜30年、最後が2050年です。
2012年までに人間のデジタル化が終わり、2030年ごろまでにウェブを基盤とする国家が生まれ、2050年にデジタル情報経済圏とリアル経済圏が相対する、という未来イメージです。SFのようですが、人々のライフスタイルよりも思考スタイルが想像もできないようなものになっていると思われます。

「あなたにとって大きな石」という話を紹介します。

目の前に4リットル入る大きな壺があります。
彼はコブシ大の石を十数個取り出して壺に入れました。これ以上入らなくなったところで、聞きました。「この壺はいっぱいでしょうか」
全員が「いっぱいです」と答えました。

次に彼は小石をたくさん入れたバッグを取り出しました。小石を何個か取り出して壺に入れて、揺すりました。するとすきまが詰まって小石が壺の中におさまりました。彼はもう一度尋ねました。「この壺はいっぱいでしょうか」
今度はみんな答えることができず、次に何かあるのかなと首をかしげました。

すると彼は次に砂の入ったバケツを取り出して、壺の中に砂を注ぎいれました。みんなを見渡してもう一度尋ねました。「この壺はいっぱいでしょうか」
何人かは「そうかもしれない」と言いましたが、みんな黙っています。

次に彼は水差しを取り出して、壺がいっぱいになるまで水を注ぎ始めました。一同を眺めわたし、尋ねました。「この実験の意味は何だと思いますか」
頭のいい若者が答えました。
「どんなにスケジュールがいっぱいでもよく考えればもっと仕事を入れることができる」と。彼は「違います」と笑顔で答えました。「そう答える人が多いのですが、そういう意味ではありません」

「この実験から学べることは、大きな石を最初に入れないと、それは後からは永遠に入れられなくなるということです」

さて、あなたの人生の「大きな石」は何でしょう。家族との時間、将来の夢、健康、それとも志でしょうか。最初にそれを入れないと、それは永遠に入れられなくなるのです。

P.S.
ビジョンを描くと多くに人にそんなの夢物語とか、大風呂敷だとか言われることがあります。Roboも僕も冷ややかな目で見られていることも多々あると思います。しかし事業が成功してからビジョンを描こうとしても、それはやはり描けないのです。なぜなのかはわかりません。不思議です。でもそれが真実です。

起業家はビジョンを描き、資本家はそれに賭ける。起業家は資本家の用意した壺に自らの石(意思)を入れる。

SBI Robo 渡部薫