起業家と投資家? ビジョンとは

すぐれたビジョンには

「有意義な目的」
「明確な価値観」
「未来のイメージ」

の3つが要求されるという。
ケン・ブランチャードが、ビジョンの専門家であるジェシーストーナーと書き下ろした書籍
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%93%E3%82...

僕は多くの尊敬すべき経営者やビジネスマンに出会ってきました。そして幸いにもインターネットウェブ業界では、北尾社長、孫社長、宮川さんなどのビジョナリーな方々の近くで仕事をさせてもらいました。

ビジョンが何か、というものを語る前に、ビジョンと並んで僕が重要だと思うことは"日々の単調な実務"だと思っています。偉大な経営者はビジョンを語ります。僕もRoboにそれなりのビジョンを持っていますが、ビジョンを語るよりも、毎日何をしなければならないか、それを知っているか、実行しているか、ということの方に重きを置いています。

僕はまだ経済界では若い方だと思います。僕のような若者がビジョンを語る、などは大げさで言うは易し、という思っている方々は大勢いると思います。僕はよく海外の人と仕事をすると決まって言われることがありますが、それは多くの場合、「君はビジョナリーだ」という言葉です。大変名誉なほめ言葉として受け止めています。しかしビジョンというのは何かのアイデアやある日突然浮かびあがるものではありません。

ビジョンが生まれる最初の動機は、そのビジョンの種を思い描き続けることができるか、育てることができるか、ということに他ならないと思っています。僕の今日のビジョンがあるのは20代の時に自分の夢を信じてあきらめず、毎日毎日単調でつまらなくて人がやらないようなことを積み重ねて少しずつ結果を出していったから生まれたものです。僕の場合、"高校生のころに世界で通用する人間になりたい"、という最初の個人的な夢とビジョンがあって、その目的に向かっていく過程でRoboのビジョンが生まれました。最初はそのような漠然とした夢だったり目的だったものがいつか大きなビジョンに育つのでしょうが、その条件が毎日の小さな積み重ねなのです。北尾社長も、宮川さんも孫社長もみんなそうです。誰よりも最も苦しくてつまらない仕事をすべて自分で片付けいく、毎日毎日、誰よりもやり遂げています。

僕の周りの人で、特に若い人の中には日々の仕事のグチや自分のやっている仕事に意義を見出せなかったり、やりがいを感じられなかったり不平不満を言う人がいます。世の中にはどんなつまらないと思われる仕事でも、気持ちと考え方の持ちようで、すばらく意義のある仕事に変えることができることを知らない、というのはもったいないと思います。そういう人は本当のビジョンを持った人にまだ出会ったことがないのかもしれません。

他にはよくいる経営者で売上を100億円規模にしたい、とか上場して成功したい、というのがありますが、これもまたビジョンとは異なり、それは経営上の野心であり、目的の部類に入ります。僕は営業の強い何人もの経営者を知っていますが、それはそれですごいことで仕事を作り、雇用を生み出す力として大きな価値があります。若い経営者の中にはその過程でビジョンを見出していく人もいます。原さんの本に書いていることは、株価を上げることはビジョンでも何でもない、ということです。CEOの仕事は確かに株価対策かもしれません。しかしそれでは次の時代のビジョンも生まれなければ、育ちもせず、何も残らない、ということを言っているのです。すなわちビジョンが明確でビジョンに沿って事業が拡大していけばおのずと企業価値が上がる、ということです。

一般に日本の企業で、しかも中小企業で、ましてや大企業の組織の中でビジョンを持った仕事をすることはほとんど不可能ではないかと思います。そもそもビジョンを理解してくれる上司もキャピタリストも、銀行の融資担当者を見つけることは非常に困難でしょう。僕自身未だになぜ自分のビジョンが宮川さん→孫社長→北尾社長につながっていったのかそれは謎です。しかし僕はこのように日本を代表するビジョナリー経営者の下で働くことができましたので、それぞれのビジョンをまず理解することから始め、自分のビジョンよりも相手のビジョンの実現にすべての能力を費やしています。それが結果的に自分のビジョンにつながっていったのです。