【SBI Cyber MEGACITY】9.独立記念日とGoogle

SBI Cyber MEGACITY構想のメールマガジンに登録されたみなさま
SBI Robo株式会社 代表取締役CEOの渡部です。

今日はSBIホールディングスSNS長者村にて書いた内容を少し編集してお送りいた
します。今回は長文ですので予めご了承ください。

◆第一部:独立記念日Google

今日は(7月4日)みなさんご存知の米国の独立記念日です。
Wikipediaで調べたら世界にはたくさんの独立記念を制定している国々があるんですね。
残念ながら日本に独立記念日はありません。

米国の人々の独立心と自由への確固たる意思は憧れでもあります。米国のフロンティ
ア精神はそうした歴史から来ているのだと思います。

僕にとって独立記念日があるとすれば、それは1995年に初めてインターネットに出会っ
た日です。今でもはっきり覚えているのは、NTTに押し掛けて、インターネットという
ものがあると聞いたので、見せてくれないかと頼み込み、その時の職員の方が最初に
ホワイトハウスにアクセスして、アメリカの国旗が出ていたウェブサイトを見せてく
れたときのことです。あれから12年、あの瞬間から今まで受けてきた日本の教育、知
識、常識、考え方の思考方法から解放され、インターネットで思考する自由を得まし
た。それは小さい反応でしたが、今となってはとても大きな独立でした。

僕は2004年の後半に今のRoboの元になるインターネットの未来の仮説を描きました。
その中で最も大きな出来事が2030年〜50年ごろに予想している新しい国家の誕生です。
バカだと思われるかもしれませんが、僕はいつかウェブを基盤とする新しい国が誕生
し、世界に向けて独立宣言するだろう、と信じています。それがGoogleという国かも
しれない。そうでなくても必ずできると思わざるを得ない今日というネットの現実が
あります。

みなさんはEPIC2014という有名なビデオを見たことがありますか。見たことない人は
ここで見れます。もう2年以上前のビデオですが、今見ても感じるものがあります。

http://probe.jp/EPIC2014/

今世界で起きていることはこのビデオで予見していること以上のことです。
EPICは2014年からメディアの隆盛について振り返っていますが、我々が実際に体験し
続けていることはメディアへの影響よりも、社会への影響の方がはるかに大きくなる
でしょう。すなわちNew York Timesとは私たち一人ひとりの人間だとしたら、Google
の世界に飲み込まれて適応するのか、それともオフラインになってインターネットの
ない島に行くのか、そう読み取ることもできます。

大きな波は砂浜近くに来るまでほとんどわかりません。でもその波は何千キロも離れ
たところで生まれるのです。
今インターネットは2つ目の大きな波の狭間にいます。
4つ目の大きな波が起きたとき、新しい独立宣言に出会えるかもしれません。

◆第二部:ネットの負の世界

米国では独立記念日に合わせテロの脅威にも目を光らせています。さて、ウェブにお
ける国家の誕生の可能性について触れましたが、今日の世界ではすでにそのような基
盤ができています。

技術は必ずしも正しいことだけに使われるわけではなく、同時に負の世界にも応用さ
れます。特にネットの世界では「すばらしくよい世界」と「すばらしく悪い世界」、
と両方突き進んでいる現実を見なくてはなりません。

Googleが正の姿とすれば、正の対極にあるのがテロ組織です。僕は911の世界同時多発
テロが起きたとき(NYのワールドトレードセンターが攻撃されたとき)、瞬間的にこ
れはインターネットがなければなしえなかったテロだと思いました。その後、ブッシュ
大統領はアメリカの威信をかけてアルカイダの撲滅のために戦いをしていますが、も
はや20世紀の軍事力や戦略ではテロ組織を壊滅することは不可能です。

悲しいかな、未来の希望を見せるはずのウェブ国家は正の世界より先に、負の世界か
ら誕生してしまったのです。僕にとってはアルカイダという組織はウェブ国家そのも
のの基礎を為しているように見えます。ウェブ国家の定義があるとすれば、地理的制
約(土地)を持たない、国籍、人種、言語、教育を問わない。多くの場合ある一つの
思想の元に集まることになります。ウェブ国家に住む人たちの本当の姿は一般社会に
紛れ、ウェブでの活動は知られることがなく、多くの人は実際には出会うことなく、
ネット上でしかコミュニケーションせず、ネットで会ってはすぐに散り、追跡は困難
になります。資金はネットのあらゆる仕組み(e-Bay,Amazon, AdWords, AdSense,Pay
Palなど)を使い送金され、洗浄されます。ウェブサイトには暗号が隠され、仲間だけ
が情報を得ることができます。

オサマ・ビン・ラディンは象徴でよく、生きているか、死んでいるかはもはや関係な
く、思想が生き続けていればこの国家は活動を続けます。その思想はウェブで、メー
ルで、YouTubeのような動画でデジタル社会の啓示として流れていきます。ある特定の
キーワードがある特定の情報にだけアクセスできる検索キーワードとなり、世界中を
情報が駆け巡り、すぐ消えていきます。

そのような世界に対して我々一般人は無知で無防備で単にテクノロジーの進化と輝か
しい未来を夢見ています。もちろんアルカイダは最も極端な例ですが、核兵器では滅
ぼすことのできない国家がウェブ上に存在することを認めなければならない時代なの
です。SecondLifeが仮想世界と思っている人は、ウェブの真の力の作用(表と裏)を
まだ見たことがないのです。

サーチテクノロジーは見つける、という技術をとことん追求していきます。見つける
技術が進化すればするほど、同時に「見つけられる」技術が進化していることを意味
します。僕たちの身近な子どもたちや家族にその影響が出てきます。

少し暗い話になってしまいましたが、正しい世界も負の世界も人間が創る世界です。
人類の英知は正の世界を創る強い意志が必要です。

「邪悪になるな」
Gogoleの有名な言葉です。
そしてRoboにはRobo三原則があります。

本当の仮想世界というものは、誰かが3Dで作るものだけではありません。もうすでに
あるのです。たとえ目に見えなくてもこのデジタル情報化社会、というのはすでにそ
うなっている、という認識から始めるべきでしょう。

EPIC2014には2015という修正バージョンがあります。
http://www.albinoblacksheep.com/flash/epic
(英語版だけです。2014の方がインパクトあります)

日本人がウェブで正しい世界を創ろうとする力が働くことを切実に願って止みません。

SBI Cyber MEGACITY プロジェクト
SBI Robo代表取締役兼CEO 渡部 薫