【SBI Cyber MEGACITY】2.目の前にある仮想世界-Google Earth

「Google Earthはあらゆる情報を統合する」


Google Earthの前身、Keyholeを見たとき、あ〜、インターネットが新しい時代に入ったと思いました。Google EarthとはGoogleがKeyholeを買収して新たに作った商標です。これまでこんな地球の衛星画像をましてや3Dの地球儀に組み込んで表現した情報ツールがあったでしょうか。僕は常に世界地図を持ち運び、オフィスには2枚の世界地図があり、そして地球儀があります。もちろんGoogle Earthも有料版を使っています。Googleが目指している世界とは、「世界」ではなく、「地球」だと思います。地球が誕生してから、そして人類が登場して、文明を切り開いてきた古代の頃からの、、、そして解明される限りの情報をGoogleは網羅していくのだと思います。Google Earthは、現実世界を仮想世界に模して僕たちの前に世界を見せてくれます。そういう意味ではGoogle Earthは仮想世界でもあります。仮想世界をどう定義するかによって考え方が違うのでしょう。ごく近い将来Google Eeathではリアルタイムに晴れになり、雨が降り、雪が降るでしょう。時間軸を変えていけばその時間のそのときの天気を仮想的に体験できるでしょう。ごく近い将来Googleアカウントから世界中の通貨を自動的に変換し、その街のその店でオンライン決済できるようになるでしょう。

SBIも仮想世界の一旦を発表しました。この企画で最も重要視しているのは完全な仮想世界にしてしまわないこと、どれだけ現実世界と密接にリンクし、現実世界の経済活動と連携できるか、です。完全な仮想世界いわゆるバーチャルワールドに人が依存するとは思えないのです。それは人間の五感的にも今のPCやブロードバンドの技術的なことを考慮してもです。


例えばこういうことも考えます。目を瞑って見る世界は現実世界なのか、仮想世界なのか。テレビを通してみるアフリカの大地やイラクは、現実に存在するにも関わらず、僕たちには行くことがなければ仮想世界なのかもしれない。体験した過去は?実際に存在した過去という世界は実在したにも関わらず時間的な流れの中では仮想世界になるのだろうか。その延長で未来はどうなるのでしょうか。


こう考えると結局のところ、現実世界と仮想世界を隔てる壁というのは誰かが定義するルールではなく、きっと意識に近いところにあるような気がします。もうすでに世の中には仮想が現実だったりする人もいるわけで、この意識感覚は何もコンピュータ・インターネット時代に出てきたものではないような気がします。もうずっと何千年も前から人間が持っていた"能力"なのではないかと思い始めています。


もし、今という時間を生きる世界が現実世界とするならば、今を生きる場所が土地という概念のある現実世界だろうが、仮想世界だろうが人間の意識能力にとって実は同じ世界と認識できるのではないでしょうか。今まで何が現実世界と仮想世界を隔てていたかというと、その一つが経済活動だと思っています。そして人間だけが他の動物と大きく違うところは、文字認識やコミュニケーション能力だけでなく、実際に触ることのできるモノ経済、サルならバナナ経済ではなく、経済を情報化し扱う能力だと思っています。こうした能力が貨幣や今の情報金融を創っていったに違いないと思っています。今の人間は十分仮想情報経済圏を創り生きていく能力があります。それが人間が人間たる能力だからです。


インターネットの最初の10年では情報配信の時代でした。Web2.0と言われる今の時代は情報共有の時代だと思っています。古来より自分と自分が思い描く世界は共有できませんでした。そして経済活動に必要な通貨も銀行も共有できませんでした。それは物理的な国境だったり為替だったりいろいろなしがらみがあるからです。


もし誰かがそのしがらみのない現実的な仮想世界を創ったら人間の創造力は一体どんな経済社会を創り出すでしょうか。東京0区ができたら、何も東京の経済活動をする必要だってないのです。例えばですが、僕はエジプト人になりきってクフ王の時代のエジプトの経済活動をそれを共有できる人たちと試行錯誤しながら仮想体験してみたいと思ったりします。


みなさんは東京23区の人口を知っていますか。千代田区で4万2千人弱なんです。就業人口はまた別の指標ですが、東京の区の人口なんてそんなものなんです。もし0区のエジプト経済活動に賛同してくれる人が出てきたら、それが数百人かもしれない、数千人かもしれない、それでも経済圏ができそうな気がしませんか。


SBI Beyond 取締役 渡部 薫